グレッチェン・パーラト
Biography
2000 年代のはじめから数々の受賞歴を誇るヴォーカリスト兼ソングライターのグレッチェン・パーラトは、同世代で最も独創的で魅惑的なヴォーカリストのひとり。2024 年グラミー賞最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム賞ノミネートの『Lean In』 (Edition Records) では、ベナン出身のギタリスト、リオネル・ルエケとのデュオによる文化・言語・友情のコラボレーションを披露している。また日本国内では、カンテレ・フジテレビ系ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』の挿入歌「All The Same feat. グレッチェン・パーラト、BIGYUKI」で大きな話題を呼んだ。
カリフォルニア州ロサンゼルスで生まれ育ち、13年を過ごしたニューヨーク市でレコーディングした『Live in NYC』(ObliqSound、2013)が、グラミー賞最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム賞にノミネート。また、iTunesのベスト・ミュージック・ビデオ・リストで第1位を獲得したDVDが、米ダウン・ビート誌で念願の4.5つ星のレビューを獲得した。それからまもなく、幼い息子を育てるために夫とともにロサンゼルスに居を移す。
2021年4月に『Flor』(Edition Records)をリリース、ブラジル音楽への愛と称賛を讃えたこの作品が、ほぼ10年ぶりのスタジオ・レコーディングとなった。「このプロジェクトは、自分自身を脇に置き、完全に母親として存在していた時期を映し出しています」とグレッチェンは語る。「今、語るべき物語があります…この役を演じる私が誰であるか、そしてそれが音楽にどのように反映されるのか。」
2022 年、彼女は『Flor』で 2 度目となるグラミー賞最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム賞にノミネートされ、ジャーマン・ジャズ・アワードの年間最優秀ヴォーカル・アルバム賞を受賞した。また、『Flor』は、英ジャズワイズ誌、ガーディアン紙、アマゾンによって2021年のベスト・ジャズ・アルバムのトップ5にも選出された。彼女の初期のアルバム、『The Lost and Found』 (2011) は30を超える国内外の賞を受賞し、ダウン・ビート誌のジャズ批評家投票で2011 年No.1ヴォーカル・アルバム、iTunes年間最優秀ヴォーカル・ジャズ・アルバムなどを獲得。2009年のセカンドリリース『In a Dream』は、米ジャズタイムズ誌の批評家投票で2009年最優秀ヴォーカル・アルバムに選ばれ、ビルボード誌で「2009年で最も魅惑的なジャズ・ヴォーカル・アルバム」と称賛された。グレッチェンは、彼女のカルテットで北米、ヨーロッパ、日本、アフリカ、オーストラリアをツアーし、カーネギー・ホール、ケネディ・センター、モントリオール・ジャズ・フェスティバル、ノース・シー・ジャズ・フェスティバル、ロンドン・ジャズ・フェスティバルなどで演奏。また、近年までSFジャズ・コレクティヴのメンバーとして活動していた他、盟友のリオネル・ルエケとともに『Lean In』北米ツアー他を行っている。
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“Lean In”
Photo by lauren desberg
グラミー賞にもノミネートされたヴォーカリスト グレッチェン・パーラトと天才ギタリストである盟友リオネル・ルエケによる、待望のコラボレーション。『Lean In』(Edition Records, 2023)は、2人の音楽のソウルメイトの20年間にわたるつながり、インスピレーション、友情の物語である。
現代の偉大で稀有な音楽デュオには成功に必要な最低限の共通項があるように、グレッチェンとリオネルは自由・自発性・衝動といった、一見対照的にも思える要素を本質的に共有しており、こうした根本的なつながりが、実験と昇華に必要な自信と信頼の基礎を築いている。こうした彼らの感動的で明白な相乗効果から、リオネルは愛情を込めてお互いを「音楽のソウルメイト」と呼ぶ。
「音楽の文章を完成させてくれる存在」とグレッチェンは語り、「同時にお互いに挑戦し合っている」とリオネルは付け加える。「私は彼女がいるところに行くだけだし、その逆もある。それはどこかに安住するのではなく、未知の領域に踏み出すことを意味します。」
そして、グレッチェンとリオネルが挑んだ未知の領域は、彼らの最初の正式なデュオレコーディングプロジェクトを生み出した。世界的なパンデミックの渦中に構想され、作曲され、レコーディングされた『Lean In』は、過去3年間のさまざまな重荷を背負っている。世界的な公衆衛生危機、悲劇的に失われた黒人の命、警察の暴力、世界を襲った壊滅的な山火事、経済不況、首都の暴動で中断された緊迫した選挙、そして危機に瀕している無数の市民権と人権。
『Lean In』 は、友人でありコラボレーターでもある彼ら2人の視点から考案された作品だ。彼らは、個人としても集団としても、前例のない形で私たち全員が向き合わなければならなかった予測不可能な旅に対して、明らかに脆弱だった。しかしその結果、深い感情を持つアーティストのカリスマ性と独創性、そして最も困難な時期に培われた視点を完全に捉える、強く魂を揺さぶる作品が誕生した。現在レーベル仲間メイトであり、ニューヨーク市にそれぞれが移ってから20年が経った今、グレッチェンとリオネルは、彼らのライブのファンが長い間待ち望んでいたアルバムを制作したのだ。
人生において、私たちは仕事・考え・アイデアの意味を、時間と視点によって変化させる。しかしリオネルとグレッチェンは『Lean In』で、彼らのメッセージ、遊び心、魅惑的なサウンド、ウィットと器用さが織り交ぜられたリズムの複雑さを通し、互いに畏敬の念を抱き続ける友人そしてコラボレーターとしての20年の旅路を祝い、熟考し、嘆き、そして喜び、今後何年もアルバムを聴くすべての人が感じられる、時代を超えたつながりを曲に吹き込んでいる。